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電気トラブルの記録

電気の請求書に月2,640円の謎のオプション。
16か月分が全額返金されるまで

電力会社経由の請求に、身に覚えのないオプション料金が2件、16か月間紛れ込んでいました。

解約したうえで交渉し、16か月分が全額返金されました。

決め手になった2つの質問と、同じ状況で使える相談の型を記録します。

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nash(30代エンジニア)|結婚を機にお金の勉強を始めた、いち生活者の目線でまとめています。
この記事について
登場する事業者は、請求元の電力会社をA社、オプションの運営・提供元をB社、電話勧誘した販売代理店をC社として匿名化しています。個社の告発ではなく、経緯の記録として書いています。

気づいた日:請求書の内訳を見て

電気代が高い気がして、初めて請求書の内訳を分解してみました。

電気本体(基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金)は妥当な水準でした。

おかしかったのはそこではなく、見覚えのないオプション2点で月2,640円を占めていたことです。

修理サポートオプション990円/月
バリューパックオプション1,650円/月
合計2,640円/月
身に覚えのないオプションだけで、月2,640円でした。

なぜ16か月も気づかなかったのか、思い返してみると理由は重なっていました。

電話勧誘の場でオプションについて説明を受けた記憶がなく、契約後に届いたSMSの本文にも月額料金の記載はなく規約PDFへのリンクがあるだけでした。

しかも最初の2か月は無料期間で、契約直後の請求書には金額が現れません。

何より、請求元が電力会社だったので、届く金額はすべて電気に関するものだと思い込んでいました。

カード決済の合計額しか見ておらず、明細そのものを確認していなかったのは、自分の落ち度です。

問い合わせを始めたら、たらい回しにあった

まず、請求元のA社(電気の小売会社)に照会しました。返ってきたのは「代理店から連絡させます」。

しばらくしてオプションの運営元であるB社に照会すると「紹介は販売店に委託しており、詳細は分かりかねます」。

最後に、電話勧誘してきたC社に連絡すると「電話で伝えたつもりです」と言われ、録音の開示は難しいとのことでした。

やり取りを重ねるうちに、3社の立場が少しずつ見えてきました。

契約したのはB社。でもB社は顧客と直接話していません。説明したのはC社。でもC社は契約の当事者ではありません。請求したのはA社。でもA社は「収納代行のみ」という立場です。

整理すると、こうなっていました。

役割契約上の位置
A社電気の小売・請求代行オプション契約の当事者ではない
B社オプションの運営・提供元契約の相手方
C社電話勧誘した販売代理店契約の当事者ではない

通話録音を持っていたのはC社だけで、契約当事者のB社も、請求元のA社も、通話の内容を把握していませんでした。

C社から届いたメールにも、電話で言われた内容は反映されていません。

各社の回答を並べたところで、これ以上は進まないことがはっきりしました。

行き詰まって、消費生活センターに相談した

3社が互いを指し合うだけで、自分ひとりでは埒が明かないと感じ、消費者ホットライン(188)に電話しました。

相談員に、これまでの経緯をそのまま話しました。

そこで教わったのが、「説明を受けたかどうか」という水掛け論にしないための視点です。

今回のオプションは契約書面が電磁的方法(SMS)で交付されていましたが、電磁的方法で交付するには消費者側の承諾が必要で、その「承諾を得たことを証する書面」の交付がされているかを確認したほうがいい、というアドバイスでした。

自分ではまったく思いつかなかった角度です。

相談員は代理人ではないので、交渉自体は自分で行う必要があります。

出典:消費者庁「契約書面等に記載すべき事項の電磁的方法による提供に係るガイドライン」

転機になった2つの質問

転機1
「承諾を得たことを証する書面はありますか」

相談員のアドバイスを踏まえて、3社それぞれに同じ質問を送りました。

「説明されたか」は水掛け論になりますが、「承諾したことを証する紙が交付されているか」は、あるかないかで決まります。しかも立証責任は事業者側にあります。

返ってきた答えは、見事にばらばらでした。

A社(請求元)
契約時に送ったという書面を再送してくれました。ただ、当時のものではなく、再発行されたものでした。そして肝心の、電磁的方法での交付に承諾した旨の記載は見当たりませんでした。
B社(契約の相手方)
「弊社では分かりかねます。販売店から説明させます」。契約の当事者でありながら、自社の契約がどう成立したかを把握していない、という回答でした。
C社(販売代理店)
電話で「承諾に関する書面は、A社から送付されています」と説明しました。

3社の答えを並べて、はじめて構造が見えました。

誰も、契約が有効に成立したことを説明できていない。

しかもC社の説明は、A社から届いた書面の中身と食い違っています。どちらかが事実と違うはずですが、それを確かめる手段が私にはありません。

この質問の価値は、答えを得たことではなく、答えが揃わないという事実をはっきりさせたことにありました。

転機2
「窓口を一本化してください」

3社に個別に聞いても、それぞれが他社を案内するばかりで前に進まない。そう判断して、A社にこう書きました。

これまでの3社の回答をそのまま並べたうえで、いずれも他社を案内する形になっており確認が進まないこと。私はA社の請求書によって支払いをしており、A社の販売代理店による勧誘で契約に至ったこと。A社が公表している勧誘方針にも、販売代理店における適正な販売と、確実な同意確認が記載されていること。

そして、消費者が3社を個別に確認して回る状態は適切ではないと考えていること。他社への確認が必要であれば、A社から照会してほしいこと。

要求ではなく、対応の妥当性についての意見として書きました。

数日後、A社から返信がありました。窓口を一本化し、B社およびC社への確認を含めて、次の4項目をまとめて回答するという内容でした。

・オプション契約の承諾状況
・記録(録音等)の確認
・各社の役割分担および契約主体の明確化
・返金に関する対応方針

ここが最大の転機でした。

一本化されたことで、A社がC社から通話録音を取り寄せて、内容を自ら確認する動きが生まれたからです。

裏を返せば、それまで契約当事者も請求元も録音を確認していなかったということでもあります。

B社は契約の相手方でありながら「詳細は分かりかねます」。A社は請求だけを代行していて、通話には関与していない。

録音を持っているのはC社だけですが、C社にとって自分から中身を精査する動機はありません。「説明はしています」と答えれば済むからです。

三者に分かれた構造は、誰も第三者の目で事実を確認しない仕組みでもあったわけです。

そして返ってきた回答の中に、こんな一文がありました。

「書面をショートメッセージで交付する旨の承諾を示す紙面の送付等は行われていない」

転機1で投げた質問の答えが、一本化を経て、ようやく返ってきた形でした。

事業者の回答と、全額返金

通話録音上、オプションの概要・提供元・無料期間・課金開始・解約方法についての説明自体はなされていた、とA社からは説明されました。

それでも「不十分」と判断されたのは、電気本体とは別の任意申込の他社サービスであるにもかかわらず、電気とセットで申し込むことが前提であるかのように誤解を与えかねない説明の仕方だったためです。

項目を読み上げたかどうかではなく、任意の別契約だと消費者が認識できる伝え方だったかどうかが見られた、ということでした。

結果、16か月分が全額返金されました。「たらい回しのような対応となってしまった」という謝罪もありました。

事業者は最後まで誠実だった、とも思っています

「規約どおりです」で押し切ろうと思えばできた場面だったはずです。それでも録音まで取り寄せて確認し、自社に不利な事実を認め、窓口の一本化にも応じてくれました。

行政機関への情報提供を伝える前に、自主的に返金を判断しています。問題は個社の悪意というより、三者に分かれた構造そのものにあったと感じています。

同じ状況の人へ:実際にやったこと

1
請求書の内訳を分解する
合計額ではなく項目を見ます。
2
契約元と解約窓口を確認する
心当たりのないオプションがあれば確認します。電力会社の窓口では解約できないことが多い点に注意。
3
解約を先に済ませる
交渉中も課金は続くため、返金交渉より先に止めます。
4
消費生活センター(188)に電話する
無料。論点の立て方を教えてもらえます。
5
事業者への照会は書面(メール)で
電話だけだと記録が残りません。
6
各社が互いを指し始めたら、窓口の一本化を求める
ここが停滞を動かす一手でした。
そのまま使えるメール例文
上記5「事業者への照会」で、実際に使えるひな形です。__の部分を書き換えてください。
件名:契約内容の確認と返金のお願いについて(ご照会) __株式会社 ご担当者様 お世話になっております。__(お客様番号:__)と申します。 請求書の内訳を確認したところ、__のオプション料金(月額__円)について、身に覚えがありませんでした。契約した記憶がなく、説明を受けた記憶もございません。__年__月分から__年__月分まで、__か月にわたり請求されておりました。 つきましては、以下2点を確認させてください。 1. 契約書面を電磁的方法(SMS等)で受け取ることについて、私が承諾したことを証する書面は交付されていますか。交付されていない場合は、その旨をご回答いただければ結構です。 2. 当該オプションへの加入について、私の承諾はどのような方法で取得されたのでしょうか(電話での口頭か、氏名等の記入を伴う手続きか等)。 また、勧誘時の通話録音は保存されていますか。開示の可否とは別に、保存の有無をお伺いしています。 上記の確認の結果、適正な手続きが確認できない場合は、これまでお支払いした当該オプション料金(合計__円)の返金をお願いいたします。 お手数をおかけしますが、書面(メール)でのご回答をお願いいたします。 __(氏名)
交渉の姿勢について

怒鳴らない。感情的な文面は、それだけで対応の優先度を下げます。

推測を書かず、確実な事実だけで構成する。そのほうが重く扱われます。

自分の落ち度は先に認める。話が早く進みます。

「〜されていない場合はその旨をご回答ください」と逃げ道を用意すると、その回答自体が記録になります。

相談先まとめ

消費者ホットライン 188
最寄りの消費生活センターにつながります。無料。今回、相談員の助言が全ての起点になりました。
地元の消費生活センター
直通のほうが確実な場合もあります。
電力・ガス取引監視等委員会 相談窓口
電気の契約トラブル・事業者の営業行為についての情報提供窓口。個別のあっせんは行いません。
消費生活センターは代理人ではないため、交渉自体は自分で行います。ただし論点の立て方を教えてもらえます。

よくある質問

身に覚えのないオプション料金は、必ず返金してもらえますか?
個別の事情によります。今回は、契約書面の電磁的交付に関する承諾の証跡がなかったことが判断材料になりました。同じ結果になるとは限りませんが、論点の立て方は参考にできます。
クーリング・オフの期間を過ぎていても交渉できますか?
できます。今回もクーリング・オフの期間はとっくに過ぎていました。交渉の軸になったのは、期間の話ではなく契約書面の交付手続きが適正だったかどうかでした。
弁護士に依頼する必要はありましたか?
今回は依頼していません。消費生活センターへの相談と、書面での照会だけで解決しました。金額や事業者の対応によっては、弁護士や司法書士への相談が有効な場合もあります。
電話勧誘そのものが違法なのでは?
電話勧誘そのものは適法な営業手法です。問題になるのは、不実告知や、消費者が任意の別契約だと認識できない説明の仕方といった、勧誘の中身のほうです。
こういうオプションは電気だけの話ですか?
いいえ。スマホ・回線・保険・車検など、他の契約でも同じ構造は起こり得ます。契約の場では即決せず、「書面をもらって後日連絡します」で防げるケースは多いです。

まとめ

  • 気づかないまま払い続けていた月2,640円が、16か月分積み重なっていた。
  • 効いたのは「承諾を証する書面はあるか」と「窓口を一本化してほしい」の2つの質問。
  • 「よくわからない月額オプション」は、スマホ・回線・保険・車検など他の場面にも同じ構造がある。
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