電力会社経由の請求に、身に覚えのないオプション料金が2件、16か月間紛れ込んでいました。
解約したうえで交渉し、16か月分が全額返金されました。
決め手になった2つの質問と、同じ状況で使える相談の型を記録します。
電気代が高い気がして、初めて請求書の内訳を分解してみました。
電気本体(基本料金・電力量料金・燃料費調整額・再エネ賦課金)は妥当な水準でした。
おかしかったのはそこではなく、見覚えのないオプション2点で月2,640円を占めていたことです。
なぜ16か月も気づかなかったのか、思い返してみると理由は重なっていました。
電話勧誘の場でオプションについて説明を受けた記憶がなく、契約後に届いたSMSの本文にも月額料金の記載はなく規約PDFへのリンクがあるだけでした。
しかも最初の2か月は無料期間で、契約直後の請求書には金額が現れません。
何より、請求元が電力会社だったので、届く金額はすべて電気に関するものだと思い込んでいました。
カード決済の合計額しか見ておらず、明細そのものを確認していなかったのは、自分の落ち度です。
まず、請求元のA社(電気の小売会社)に照会しました。返ってきたのは「代理店から連絡させます」。
しばらくしてオプションの運営元であるB社に照会すると「紹介は販売店に委託しており、詳細は分かりかねます」。
最後に、電話勧誘してきたC社に連絡すると「電話で伝えたつもりです」と言われ、録音の開示は難しいとのことでした。
やり取りを重ねるうちに、3社の立場が少しずつ見えてきました。
契約したのはB社。でもB社は顧客と直接話していません。説明したのはC社。でもC社は契約の当事者ではありません。請求したのはA社。でもA社は「収納代行のみ」という立場です。
整理すると、こうなっていました。
通話録音を持っていたのはC社だけで、契約当事者のB社も、請求元のA社も、通話の内容を把握していませんでした。
C社から届いたメールにも、電話で言われた内容は反映されていません。
各社の回答を並べたところで、これ以上は進まないことがはっきりしました。
3社が互いを指し合うだけで、自分ひとりでは埒が明かないと感じ、消費者ホットライン(188)に電話しました。
相談員に、これまでの経緯をそのまま話しました。
そこで教わったのが、「説明を受けたかどうか」という水掛け論にしないための視点です。
今回のオプションは契約書面が電磁的方法(SMS)で交付されていましたが、電磁的方法で交付するには消費者側の承諾が必要で、その「承諾を得たことを証する書面」の交付がされているかを確認したほうがいい、というアドバイスでした。
自分ではまったく思いつかなかった角度です。
相談員は代理人ではないので、交渉自体は自分で行う必要があります。
相談員のアドバイスを踏まえて、3社それぞれに同じ質問を送りました。
「説明されたか」は水掛け論になりますが、「承諾したことを証する紙が交付されているか」は、あるかないかで決まります。しかも立証責任は事業者側にあります。
返ってきた答えは、見事にばらばらでした。
3社の答えを並べて、はじめて構造が見えました。
誰も、契約が有効に成立したことを説明できていない。
しかもC社の説明は、A社から届いた書面の中身と食い違っています。どちらかが事実と違うはずですが、それを確かめる手段が私にはありません。
この質問の価値は、答えを得たことではなく、答えが揃わないという事実をはっきりさせたことにありました。
3社に個別に聞いても、それぞれが他社を案内するばかりで前に進まない。そう判断して、A社にこう書きました。
これまでの3社の回答をそのまま並べたうえで、いずれも他社を案内する形になっており確認が進まないこと。私はA社の請求書によって支払いをしており、A社の販売代理店による勧誘で契約に至ったこと。A社が公表している勧誘方針にも、販売代理店における適正な販売と、確実な同意確認が記載されていること。
そして、消費者が3社を個別に確認して回る状態は適切ではないと考えていること。他社への確認が必要であれば、A社から照会してほしいこと。
要求ではなく、対応の妥当性についての意見として書きました。
数日後、A社から返信がありました。窓口を一本化し、B社およびC社への確認を含めて、次の4項目をまとめて回答するという内容でした。
ここが最大の転機でした。
一本化されたことで、A社がC社から通話録音を取り寄せて、内容を自ら確認する動きが生まれたからです。
裏を返せば、それまで契約当事者も請求元も録音を確認していなかったということでもあります。
B社は契約の相手方でありながら「詳細は分かりかねます」。A社は請求だけを代行していて、通話には関与していない。
録音を持っているのはC社だけですが、C社にとって自分から中身を精査する動機はありません。「説明はしています」と答えれば済むからです。
三者に分かれた構造は、誰も第三者の目で事実を確認しない仕組みでもあったわけです。
そして返ってきた回答の中に、こんな一文がありました。
転機1で投げた質問の答えが、一本化を経て、ようやく返ってきた形でした。
通話録音上、オプションの概要・提供元・無料期間・課金開始・解約方法についての説明自体はなされていた、とA社からは説明されました。
それでも「不十分」と判断されたのは、電気本体とは別の任意申込の他社サービスであるにもかかわらず、電気とセットで申し込むことが前提であるかのように誤解を与えかねない説明の仕方だったためです。
項目を読み上げたかどうかではなく、任意の別契約だと消費者が認識できる伝え方だったかどうかが見られた、ということでした。
結果、16か月分が全額返金されました。「たらい回しのような対応となってしまった」という謝罪もありました。
怒鳴らない。感情的な文面は、それだけで対応の優先度を下げます。
推測を書かず、確実な事実だけで構成する。そのほうが重く扱われます。
自分の落ち度は先に認める。話が早く進みます。
「〜されていない場合はその旨をご回答ください」と逃げ道を用意すると、その回答自体が記録になります。