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教育費の借り方

奨学金と教育ローン、
どう違う?

奨学金は「子が借りて、子が返す」。教育ローンは「親が借りて、親が返す」

検討の順番は給付型 → 無利子(第一種)→ 有利子(第二種)が基本です。

借りる前に「月々いくら返すか」を知っておくと、借りすぎを防げます。

月々の返還額を試算する
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nash(30代エンジニア)|結婚を機にお金の勉強を始めた、いち生活者の目線でまとめています。

借りたら、月々いくら返す?

奨学金でいちばん大事なのは、借りる金額よりも「卒業後、月々いくら返すか」。返還は多くの場合10〜20年続き、就職したての家計にそのまま固定費として乗ります。

まずは総額・利率・年数を動かして、返還のリアルな月額を見てみましょう。

奨学金の返還額かんたんシミュレーション
借りる総額・利率・返還年数を動かすと、卒業後の毎月の返還額と利息の総額がすぐ分かります。
借りる総額 300万円
50万円800万円
目安:月5万円×4年=240万円、月8万円×4年=384万円
利率(年) 0.50%
0%(第一種)3%(第二種の上限)
返還年数 15年
5年20年
月々の返還額
¥17,303
総返還額 ¥3,114,531
うち利息 ¥114,531
手取りに対する割合(月18万円の例)
9.6%
新卒の手取り例(月18万円)の1割前後にあたる水準です。家賃や生活費と並ぶ固定費になるので、この金額で大丈夫か、借りる前に一度立ち止まって考えたいラインです。
※ 元利均等返還・利率一定と仮定した概算です。第一種の所得連動返還方式、在学中の無利子期間、保証料、減額返還などは考慮していません。正確な返還額は日本学生支援機構(JASSO)のシミュレーションでご確認ください。
※ 利率の目安:第一種は無利子(0%)。第二種の上限は年3%で、2026年前半時点の利率は利率見直し方式で年1.7%前後、利率固定方式で年2.4〜2.9%前後です(貸与終了時期により変動します)。
※ 教育費は家計全体の一部です。進路別の教育費や他の支出まで含めて見たいときは、ページ下部の総合シミュレーター「おかね」で人生全体を試せます。

3つの選択肢、検討の順番

日本学生支援機構(JASSO)の奨学金は大きく3種類。「返さなくてよいもの → 利子がつかないもの → 利子がつくもの」の順に検討するのが基本です。

まず検討
給付型奨学金
返さなくてよい奨学金。授業料・入学金の減免とセットで、世帯収入などの要件があります。2024年度からは子ども3人以上の多子世帯や私立理工農系の学生を対象に、年収約600万円程度の中間層まで対象が広がりました。さらに2025年度からは、子ども3人以上を扶養する多子世帯は所得制限なしで授業料等の減免(国の定める上限あり・要申請)が受けられます。
次に検討
貸与型・第一種(無利子)
利子がつかない貸与型。借りた分だけを返します。高校の成績(評定平均など)と世帯収入の両方に基準があり、給付型より対象は広いものの誰でも借りられるわけではありません。返す月額を卒業後の所得に応じて決められる「所得連動返還方式」も選べます。
最後に検討
貸与型・第二種(有利子)
利子がつく貸与型で、収入基準は3つの中でいちばんゆるやか。利率の上限は年3%と法令で決まっています。かつては1%を下回る低さでしたが、近年の金利上昇で2026年前半時点では利率見直し方式が年1.7%前後、利率固定方式が年2.4〜2.9%前後まで上がっています。在学中は利子がつきません。
では、国の教育ローンは?
奨学金(JASSO)
借りるのは子ども本人。毎月定額が在学中に振り込まれ、卒業後に本人が返す。生活費・授業料など在学中の資金に向く。初回の振込は入学後なので、入学前のお金には使えない
国の教育ローン(日本政策金融公庫)
借りるのは。まとまった額を一括で借りられ、借りた翌月から親が返す。固定金利で2026年7月時点は年4.05%(ひとり親世帯などには金利低減の特例あり)。限度額は子1人につき350万円(自宅外通学・海外留学などの要件を満たすと450万円)、返済期間は最長18年。入学金や前期授業料など、入学前のまとまった資金に向く。
つまり対立するものではなく、入学前の一時金は教育ローンや貯蓄、在学中の継続的な資金は奨学金、という役割分担で併用されることも多い制度です。
日本学生支援機構(JASSO)公式 → 国の教育ローン(日本政策金融公庫)公式 →
※ 利率・金利・収入基準・支援額は改定されます。申し込み前に、最新の条件を各公式サイトで必ずご確認ください。

奨学金は、誰の借金?

ここは正直に整理しておきたいところです。貸与型奨学金の債務者は子ども本人。つまり、社会人になった瞬間から、その家計に月1〜2万円の固定費が乗った状態でスタートすることになります。

300万円を15年で返すなら月1.7万円前後。新卒の手取りが18万円前後だとすると、およそ1割です。返せない金額ではありませんが、家賃・食費・貯蓄と並べたとき、決して軽い数字でもありません。

だからこそ、選択肢は借りることだけではありません。親が返還を手伝う・肩代わりするという家庭もあれば、早くから積み立てて、そもそも借りる額を減らすという道もあります(貯め方は教育費の記事で詳しく解説しています)。

等身大の結論
「奨学金を借りたら人生が苦しくなる」も「気にしなくていい」も、どちらも極端です。実際は金額しだい。月々の返還額が卒業後の手取りに収まる範囲なら現実的な選択肢ですし、収まらないなら借り方を見直すサイン。上のシミュレーションで、その線引きを親子で確認しておくのがいちばんの備えです。

借りすぎないための3つの工夫

奨学金で後悔するパターンの多くは「なんとなく上限額まで借りた」ケース。次の3つを意識するだけで、借りすぎはかなり防げます。

1
必要額から逆算する
「借りられる額」ではなく「足りない額」を借りる。授業料と生活費を分けて書き出し、貯蓄・給付型・家庭からの仕送りで埋まらない差額だけを貸与型で埋めるのが基本です。教育費の全体像は教育費の記事で確認できます。
2
在学中から返還額を意識する
貸与月額は在学中でも変更できます。年に1回、このシミュレーションで「いま借りている総額なら月いくら返すか」を確かめ、必要が減ったら月額を下げる。この習慣だけで卒業時の総額は大きく変わります。
3
繰上返還は「利子の有無」で考える
第一種(無利子)は繰り上げても利息が減るわけではないので、手元資金を貯蓄や生活の立て直しに回す考え方もあります。第二種(有利子)は繰り上げた分だけ利息が減るため、家計に余裕ができたら検討する価値があります。どちらが正解というより、金利と手元資金のバランスで決める話です。

よくある質問

奨学金は、いつ・どうやって申し込む?
メインの入口は「予約採用」で、高校3年生の春(例年4〜6月頃)に在籍する高校を通じて申し込みます。進学先が決まっていなくても申し込めて、進学後に正式に手続きする流れです。ここを逃しても、進学後に大学を通じて申し込む「在学採用」があります。募集時期は学校ごとに違うので、高3の春になったら学校の案内を早めにチェックしておきましょう。
親の収入基準はいくら?
種類ごとに違います。給付型は住民税非課税世帯とそれに準ずる世帯が中心で、目安として年収約380万円まで。2024年度からは、子ども3人以上の多子世帯や私立理工農系の学生に限り年収約600万円程度まで広がりました。貸与型は第一種・第二種とも家族構成によって上限が変わり、第二種がいちばんゆるやかです。基準は世帯人数や共働きかどうかで大きく変わるので、JASSO公式サイトのシミュレーターで自分の世帯の見込みを確認するのが確実です。
返せなくなったら、どうなる?
まず知っておきたいのは、救済制度があることです。収入が少ないときは月々の返還額を減らせる「減額返還制度」、失業や病気などのときは返還を一時止められる「返還期限猶予」が使えます。こわいのは制度を知らずに延滞してしまうこと。延滞が続くと延滞金がつき、信用情報機関に登録されてローンやクレジットに影響が出ることもあります。苦しくなったら放置せず、早めにJASSOに相談するのが鉄則です。
奨学金と教育ローンは併用できる?
できます。よくある組み合わせは、入学金や前期授業料など入学前に必要なまとまったお金を国の教育ローン(親)でまかない、在学中の授業料や生活費を奨学金(子)で補う形です。奨学金の初回振込は入学後になるため、入学前の資金は奨学金では間に合わないという事情もあります。ただし併用は「親と子の両方に借金が残る」ということでもあるので、世帯全体でいくら借りて、誰がいくら返すのかを一枚の紙に書き出しておくと安心です。
子どもに借金を背負わせるのは、親として失格?
そう捉える必要はないと考えています。これは親の価値観の問題というより、家計の設計の問題です。大学生の約半数が何らかの奨学金を利用しているという調査もあり、それ自体は珍しいことではありません。大事なのは、月々の返還額を親子で共有したうえで借りること、そして給付型・無利子を先に検討し尽くすこと。「知らないうちに数百万円の債務者になっていた」という状態だけは避けたい、というのがこの記事の一番のメッセージです。

まとめ

  • 奨学金は子が借りる、教育ローンは親が借りる。検討は給付型 → 無利子 → 有利子の順で。
  • 借りる前に「月々いくら返すか」を試算する。300万円・15年なら月1.7万円前後が卒業後の固定費に。
  • 借りるかどうかは金額しだい。必要額から逆算して、借りすぎない設計にする。
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