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介護とお金のきほん

親の介護のお金、
いくらかかる?

平均像は「月9.0万円 × 約4年7ヶ月 + 一時費用47.2万円」——総額はおよそ540万円という調査結果があります。

公的介護保険を使えば、対象サービスの自己負担は1〜3割に抑えられます。

原則は「親のお金で賄う」。自分の家計を壊さないことが大事です。

介護費用の目安を試算する
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nash(30代エンジニア)|結婚を機にお金の勉強を始めた、いち生活者の目線でまとめています。

介護費用の総額、ざっくりいくら?

介護のお金は「月々の費用 × 期間」+「一時費用」で考えるのが基本です。生命保険文化センターの2024(令和6)年度調査では、月々の費用は平均9.0万円、介護期間は平均55.0ヶ月(4年7ヶ月)、住宅改修や介護用ベッドの購入といった一時費用は平均47.2万円でした。

まずはスライダーを動かして、想定する条件での総額の目安をつかんでみましょう。

介護費用かんたんシミュレーション
月々の費用・介護の期間・一時費用を動かすと、介護費用の総額の目安がすぐ分かります。初期値は2024年度調査の平均に近い値です。
月々の介護費用 9万円
3万円30万円
介護の期間 5年
1年15年
一時費用(住宅改修・介護ベッド等) 50万円
0万円300万円
介護費用の総額(目安)
590万円
およそ ¥5,900,000
月々の費用 × 12ヶ月 × 5年 540万円
+ 一時費用 50万円
平均に近い水準です。調査の平均像(月9.0万円×4年7ヶ月+一時費用47.2万円)はおよそ540万円になります。
これは親1人分の目安です。夫婦それぞれの親——最大4人分をどこまで想定するかは、親の資産状況やきょうだい構成によって変わります。
※ あくまで概算です。初期値は生命保険文化センター「2024(令和6)年度 生命保険に関する全国実態調査」の平均(月々9.0万円・期間55.0ヶ月・一時費用47.2万円)を参考にしていますが、介護費用は要介護度・在宅か施設か・地域・期間によって個人差が非常に大きいものです。在宅の月額は平均5.3万円、施設は平均13.8万円と、場所だけでも大きく差があります。
※ 自分自身の老後の介護費まで含めて人生全体のお金の流れを見たいときは、ページ下部の総合シミュレーター「おかね」で試せます。

公的介護保険で、どこまでカバーされる?

介護のお金を考えるうえで土台になるのが公的介護保険です。仕組みを大づかみにすると、次の3つに整理できます。「全部自己負担ではない」一方で、カバーされない領域もあることを知っておくと、費用の見通しが立てやすくなります。

40歳から全員が加入
40歳になると介護保険料の支払いが始まります。65歳以上は原因を問わず、40〜64歳は特定の病気が原因の場合に、介護サービスを利用できる仕組みです。
自己負担は1〜3割
市区町村の要介護認定を受けると、要介護度ごとに決まる支給限度額の範囲内は、所得に応じて1〜3割の自己負担でサービスを利用できます。
全額自己負担の領域も
支給限度額を超えた分や、保険の対象外のサービス(施設の居住費・食費、上乗せのサービスなど)は全額自己負担になります。
高額介護サービス費も知っておく
公的介護保険の自己負担が同じ月に一定額を超えると、申請により超えた分が払い戻される高額介護サービス費という制度があります。上限は所得区分によって異なり、一般的な所得の世帯では月4万4,400円です。ただし施設の居住費・食費などは対象外なので、詳細はお住まいの市区町村や公式情報でご確認ください。

慌てないための、3つの原則

介護は、ある日突然始まることが少なくありません。いざというとき判断を誤らないために、お金と働き方の原則を先に押さえておきましょう。

1
親のお金で賄うのが原則
介護費用は、親の年金・貯蓄・資産の範囲で組み立てるのが基本とされます。子が自分の貯蓄や老後資金を崩して支えると、次は自分の老後が立ちゆかなくなりかねません。「親のお金で足りる範囲のサービスを選ぶ」という順番で考えましょう。
2
まず地域包括支援センターに相談
介護の入口で頼れるのが、親が住む市区町村の地域包括支援センター。要介護認定の申請からサービスの組み立てまで無料で相談できる公的な窓口です。「何から始めれば」と迷ったら、自己流で抱え込む前にここへ。
3
仕事は辞めない
収入が途絶えると介護費用も自分の生活も苦しくなり、再就職も簡単ではありません。いわゆる介護離職は避けたい選択肢とされます。法律で介護休業(通算93日・分割可)や介護休暇などの制度が用意されているので、まず勤め先の制度を確認し、仕事を続けながら介護の体制を整えるのが基本です。

事前にできる備え

介護が始まってから慌てて調べるより、元気なうちに親と話しておくことが、いちばんの備えになります。お金の話は切り出しにくいものですが、帰省のタイミングなどに少しずつで大丈夫です。

親と話しておきたいことリスト
  • 資産の全体像——年金の受給額、預貯金や証券口座、不動産、借入の有無。口座やお金の「ありか」が分からないのが、いちばん困るパターンです。
  • 加入している保険——民間の介護保険・医療保険・生命保険の有無と、証券の保管場所。使える保障を把握しておきます。
  • 本人の希望——できるだけ自宅で過ごしたいのか、施設も選択肢か。かかりつけ医や飲んでいる薬も共有しておくと、いざというとき動きやすくなります。
民間の介護保険という選択肢
一時金や年金形式で介護費用に備える民間の介護保険もあります。ただし検討の順番は公的介護保険の理解が先。公的保障でカバーされる範囲を知ったうえで、足りない部分に絞って考えるのが、保険の見直しと同じ「不足分だけ備える」考え方です。
自分の世代の備えは資産形成で
親の介護と並行して意識したいのが、将来の自分の介護費用。数十年先の支出には、保険よりもNISAなどの長期の資産形成で柔軟に使えるお金を育てておく考え方が向いています。介護にも老後の生活費にも使える「色のついていないお金」が強い備えになります。

よくある質問

介護はいつ始まることが多い?
きっかけとして多いのは、転倒・骨折や脳卒中などによる急な入院、そして認知症の進行と言われます。つまり「徐々に」ではなく、ある日の電話で突然始まるケースが珍しくありません。親が75歳を超えたあたりからは、要介護になる割合が統計的に大きく上がっていきます。だからこそ、始まってから調べるのではなく、元気なうちに資産や希望を聞いておく・地域包括支援センターの場所を調べておくといった「事前の備え」が効きます。
在宅と施設で、いくら違う?
2024年度の生命保険文化センター調査では、月々の介護費用は在宅が平均5.3万円、施設が平均13.8万円と、2倍以上の差があります。施設は介護サービス費のほかに居住費・食費がかかり、これらは公的介護保険の対象外だからです。さらに施設の種類でも幅が大きく、公的な特別養護老人ホームは比較的抑えやすい一方、民間の有料老人ホームは入居一時金や月額費用が高くなる傾向があります。在宅か施設か、施設ならどのタイプかで、総額は大きく変わります。
親のお金は、どうやって管理する?
判断能力があるうちは、本人の同意のもとで支払いを手伝う形が基本です。注意したいのは、認知症などで判断能力が低下すると、本人名義の口座からお金を動かすことが難しくなる場合があること。そうなってからの選択肢としては、家庭裁判所が後見人を選ぶ「成年後見制度」があり、事前の備えとしては、元気なうちに家族へ財産管理を託す「家族信託」や「任意後見制度」といった仕組みもあります。それぞれ費用や自由度が異なるため、資産の規模によっては専門家への相談も選択肢です(→お金の相談先の選び方)。
介護離職は、なぜ避けるべきと言われる?
収入が途絶える一方で介護費用は続き、家計が両側から圧迫されるためです。さらに、介護が終わったあとの再就職は年齢的に厳しくなりやすく、厚生年金の加入期間が減ることで自分の将来の年金額まで下がります。時間ができる分だけ介護を抱え込み、心身の負担がかえって増えたという声も少なくありません。介護休業や介護休暇、短時間勤務などの制度を使い、外部サービスに任せられる部分は任せて、仕事を続けながら回る体制をつくるのが基本の考え方です。
遠距離介護の場合は、どう考える?
介護費用そのものに加えて、帰省の交通費・宿泊費という固定的な出費が乗ってくるのが遠距離介護の特徴です。航空会社などには介護帰省向けの割引運賃が用意されている場合があります。体制づくりとしては、現地のサービス(訪問介護・デイサービス・配食・見守りなど)を組み合わせて日常を任せ、自分は月1回の訪問と平常時の電話やビデオ通話で状況を把握する、といった分担が現実的です。呼び寄せや自分の転居は生活が大きく変わる選択なので、まず現地の地域包括支援センターに相談して、いまの住まいで続けられる体制を検討するのが先とされます。

まとめ

  • 平均像は月9.0万円×4年7ヶ月+一時費用47.2万円。ただし個人差が大きく、自分の想定で試算する。
  • 土台は公的介護保険。自己負担1〜3割と高額介護サービス費で、負担には抑えが効く。
  • 原則は親のお金で賄う・まず公的窓口に相談・仕事は辞めない。自分の家計を守ることが介護を続ける力になる。
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