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投資信託のきほん

投資信託、
何を基準に選べばいい?

商品は数千本ありますが、見るべき軸は3つだけです。

「みんなが買ってるから」は、選ぶ理由としては弱い。

このサイトは特定の商品を推奨しません——選ぶ力を持ち帰ってください。

コストの影響を試算する
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nash(30代エンジニア)|結婚を機にお金の勉強を始めた、いち生活者の目線でまとめています。

信託報酬1%の差は、30年でいくら?

投資信託を持っている間、信託報酬という運用コストが毎年かかり続けます。将来のリターンは誰にも分かりませんが、コストだけは買う前に確実に分かる差。そしてこの差は、長期になるほど複利で効いてきます。

同じ値動きをしたと仮定して、コストだけが違う2本を比べるとどうなるか。スライダーで確かめてみてください。

信託報酬インパクトシミュレーション
積立額・年数・コスト差を動かすと、低コストな投信と高コストな投信で最終資産がどれだけ変わるかがすぐ分かります。
毎月の積立額 3万円
1万円15万円
積立年数 30年
5年40年
信託報酬の差(年) 1.0%
0.05%2.0%
低コストな投信と高コストな投信の、年率コストの差
コスト差による最終資産の差(30年後)
¥4,146,277
低コストな投信(実質年5.0%) ¥24,967,759
高コストな投信(実質年4.0%) ¥20,821,482
リターンは選べませんが、コストは選べます。コストは唯一、買う前に確実に分かる差です。
※ どちらの投信も「コスト控除前の値動きは年5%で同じ」と仮定し、コスト差の分だけ実質リターンが違うものとして毎月複利で計算した概算です。年5%という想定はあくまで説明のための仮定であり、実際のリターンを予測・保証するものではありません。税金・購入時手数料等は考慮していません。
※ 投資信託は元本が保証された商品ではなく、運用の結果によっては投資した額を下回る(元本割れする)ことがあります。

選ぶ軸は、3つだけ

数千本の商品を1本ずつ比べる必要はありません。「何に投資するか」「インデックスかアクティブか」「コスト」の3つの軸で見れば、候補は自然と絞れていきます。

軸①
「何に」投資するか
投資信託は、集めたお金を株式や債券などに分散して投資する仕組み。まず決めるのは商品名ではなく、どの地域の・どの資産に投資するカテゴリかです。投資先が広いほど1つの国や企業の不調の影響は薄まりますが、その分リターンも市場全体の平均に近づきます。
全世界株式型
先進国も新興国も含め、世界中の株式に1本で分散。
先進国株式型
米国・欧州など先進国の株式が中心。新興国は含まない。
米国株式型
S&P500など米国の指数に連動するタイプが代表的。1国に集中する分、値動きの影響も受けやすい。
バランス型
株式に債券などを組み合わせ、値動きをマイルドに。その分リターンも控えめになりやすい。
軸②
インデックスか、アクティブか
運用のスタイルは大きく2つに分かれます。どちらが優れているという話ではなく、狙うものとコストが違うという整理です。
インデックス型
市場の指数(全世界株式の指数、S&P500など)に連動することを目指す。人の判断が少ない分コストが低く、成果は良くも悪くも市場平均どおり
アクティブ型
運用者が銘柄を選び、市場平均を上回ることを目指す。調査の手間がかかる分コストは高め。長期にわたり指数に勝ち続ける商品は少数にとどまる、という調査結果が知られています。
軸③
コスト——信託報酬と「隠れコスト」
保有中ずっとかかる信託報酬が中心のコストです。近年は競争が進み、インデックス型では年0.1%前後の低コスト帯が主流になっています。ほかに、売買にかかる費用など目論見書の表面には出にくい「隠れコスト」もあり、これらを含めた実際の負担は「総経費率」という欄で確認できます。上のシミュレーションのとおり、コストの差は長期で大きな金額差になります。

やりがちな選び方、3つの落とし穴

どれも一見もっともらしい選び方ですが、「なぜそれで選ぶと危ういのか」を知っておくと、迷ったときの判断が変わります。

1
「ランキング上位だから」
売れ筋ランキングは「いま多くの人が買っている」ことを示すだけで、あなたの目的に合うかどうかとは別の話です。人気は流行やキャンペーンでも動きます。ランキングは「世の中の関心を知る参考」に留め、選ぶ理由は上の3つの軸で説明できるようにしておくのが安全です。
2
「直近のリターンが高いから」
過去の成績は、将来の成績を保証しません。むしろ直近に大きく上がった資産は、たまたま追い風の局面だった可能性もあります。「過去◯年で+◯%」という数字は結果であって、これからの約束ではない——この一線を引けるかどうかが、長期投資では効いてきます。
3
「分配金が多いから」
毎月お金がもらえると得に見えますが、分配金は運用資産の中から支払われます。運用益が足りない場合は元本を取り崩して支払われる(いわゆるタコ足配当)こともあり、その分、複利で増える力は削がれます。資産を増やす段階では、分配金の多さは魅力ではなくブレーキになり得ます。

実際、どう絞り込む?

特定の商品名ではなく、「どの母集団から・どの欄を見て」絞るかという手順で整理します。この手順なら、商品が入れ替わっても使い回せます。

1
NISAのつみたて投資枠の対象から選ぶ
NISAのつみたて投資枠の対象商品は、長期・積立・分散投資に適するよう金融庁が定めた基準(販売手数料や信託報酬の水準、頻繁な分配をしないこと等)を満たした商品群です。これは制度の仕組みの話であって「増えることを約束する制度」ではありませんが、極端に高コストな商品や複雑な商品があらかじめ除かれた母集団から選べる、という点で出発点にしやすい絞り込みです。
2
目論見書で「3つの欄」を見る
候補が絞れたら、交付目論見書(商品の説明書)で次の3点を確認します。①連動する指数(=結局「何に」投資するのか。軸①がここで確定します)、②信託報酬(総経費率)(=コスト。同じカテゴリ内で比べる)、③純資産総額(=商品の規模。あまりに小さいと繰上償還=途中終了のリスクが相対的に高まります)。この3つの欄が読めれば、広告やランキングに頼らず自分で比較できます。
3
迷ったら「1本で分散できるカテゴリ」から考える
何本も組み合わせる前に、全世界株式型やバランス型のように1本で地域や資産の分散が完了するカテゴリを基準に考えると、管理もシンプルで挫折しにくくなります。そこから「もっと米国に寄せたい」「値動きを抑えたい」といった自分の考えがあれば、カテゴリを調整していく——という順番です。
大前提として
どんなに丁寧に選んでも、投資信託は元本が守られる商品ではありません。短期的に投資した額を下回ることは普通に起こります。だからこそ、生活防衛費を現金で確保したうえで、長期で続けられる範囲の金額から始めるのが基本です。

よくある質問

投資信託は何本持てばいい?
本数に正解はありませんが、本数の多さと分散の効き方は別物です。全世界株式型のようなカテゴリなら1本の中で十分に分散されていますし、逆に似た中身の商品を何本も持っても分散効果はほとんど増えません(例えば全世界株式型と米国株式型は投資先が大きく重なります)。「それぞれの商品が何をカバーしているか」を説明できる本数に留めるのが管理しやすい考え方です。
ETFとの違いは?
ETF(上場投資信託)は、投資信託を証券取引所に上場させたもの。株式と同じように取引時間中の価格でリアルタイムに売買できます。一方、通常の投資信託は1日1回の基準価額で取引され、金額指定の自動積立がしやすいのが実務上の大きな違いです。毎月コツコツ積み立てる使い方なら、自動積立と相性のよい投資信託のほうが仕組みとして噛み合いやすい、という整理になります。
基準価額が高い・安いは関係ある?
ほとんど関係ありません。基準価額は「1万口あたりの値段」で、株価のような割高・割安の指標ではないからです。投資信託は金額指定で買えるので、基準価額が高い商品でも3万円分なら3万円分の口数が買えるだけ。「基準価額が安いからお買い得」「高いから手が出ない」という見方は、口数の仕組みを株価と混同した誤解です。見るべきは価額そのものの高い・安いではなく、投資先・コスト・規模のほうです。
毎日積立と毎月積立で差は出る?
長期で見れば誤差程度と考えてよいレベルです。毎日に刻んでも、1か月の間の値動きが平均化される効果がわずかに変わるだけで、数十年の結果を左右するのは積立の頻度ではなく「続けた期間と金額、投資先、コスト」のほうです。頻度で悩む時間があったら、無理なく続けられる金額の設定に使うほうが実りがあります。設定のしやすい頻度でOKです。
暴落が怖くて買えません
その感覚は健全です。投資信託は元本割れが実際に起こる商品なので、怖さを無視して飛び込む必要はありません。備えは2段構えで考えます。まず生活防衛費を現金で確保して「下がっても生活は揺らがない」状態を作ること。そのうえで、一括ではなく毎月一定額の積立で買う時期を分散すれば、高値づかみだけを引くリスクは和らぎます。それでも短期的な下落は避けられないので、「使う予定のないお金で、長く続ける」前提が崩れない範囲で始めるのが基本です。

まとめ

  • 選ぶ軸は「何に・インデックスかアクティブか・コスト」の3つ。商品名の暗記は不要。
  • コストは唯一買う前に確実に分かる差。長期では大きな金額差になり得る。
  • 目論見書の連動指数・信託報酬・純資産総額の3つの欄が読めれば、自分で比較できる。
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