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退職金のきほん

退職金、
どう受け取るのが良い?

一時金でまとめて受け取ると、「退職所得控除」という大きな税優遇が使えます。

控除の範囲内なら、税金がゼロになることも多い仕組みです。

年金形式・併用にも良さがある——まずは自分の控除枠を知ることから始めましょう。

退職金の税金を概算する
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nash(30代エンジニア)|結婚を機にお金の勉強を始めた、いち生活者の目線でまとめています。

退職金の税金、うちはいくら?

退職金を一時金で受け取るときは、退職所得控除という専用の控除が使えます。控除額は勤続年数だけで決まり、長く勤めるほど大きくなります。さらに、控除を超えた分も半分(1/2)だけが課税対象になるため、給与などと比べて税負担がかなり軽い仕組みです。

まずは自分の控除枠と、税金のおおよその金額をつかんでみましょう。

退職所得控除の計算式(2026年7月時点)
勤続20年以下
40万円 × 勤続年数
80万円に満たない場合は80万円。例:勤続15年なら600万円。
勤続20年超
800万円 + 70万円 ×(勤続年数 − 20年)
21年目からは1年あたり70万円ずつ増加。例:勤続38年なら2,060万円。
退職金の税金かんたん試算
勤続年数と退職金額を動かすと、あなたの退職所得控除の枠と、一時金で受け取った場合の税金の目安がすぐ分かります。
勤続年数 38年
10年45年
退職金額(一時金で受け取る額) 2,000万円
500万円4,000万円
控除のイメージ
退職金のうち、控除の枠に収まる部分はまるごと非課税。枠を超えた部分だけが、さらに半分にされたうえで課税されます。
あなたの退職所得控除の枠(勤続38年)
2,060万円
ここまでの一時金は税金がかかりません
控除の範囲内(非課税) 2,000万円
控除を超える部分 0万円
課税される退職所得(超過分 × 1/2) ¥0
税金の目安(所得税+住民税10%) ¥0
手取りの目安 ¥20,000,000
退職金2,000万円は控除の範囲内。一時金で受け取れば税金は0円になる計算です。
※ 2026年7月時点の制度に基づく概算です。所得税は速算表(復興特別所得税2.1%込み)、住民税は一律10%で計算しています。同じ年や近い時期に会社の他の一時金・iDeCo・企業型DCの一時金を受け取る場合は合算・調整されることがあり、勤続5年以下の場合は1/2課税が制限される例外もあります。正確な税額は源泉徴収票や税務署・税理士でご確認ください。
※ 退職金を含めた老後全体のお金の流れは、ページ下部の総合シミュレーター「おかね」の退職金欄で試せます。

受け取り方は3つ。それぞれの良さ

多くの会社では、退職金を「一時金」「年金形式」「その併用」から選べます(選べる範囲は会社の制度によります)。どれが良いかは一概に決まらず、控除枠と他の収入しだいで変わります。

一時金
退職所得控除+1/2課税で税優遇が最も強い受け取り方。まとまったお金が入るので、住宅ローンの残りを整理するなどの選択もしやすい。控除の範囲内なら税金0円の計算になることも。
年金形式
分割で受け取るあいだ会社側で利息が付く制度もあり、総受取額が増える場合があります。税金は雑所得として公的年金等控除の対象。ただし公的年金と合算されるため、税金や社会保険料が増えることもあります。
併用
控除枠までを一時金で非課税で受け取り、残りを年金形式にする組み合わせ。両方の良さを取りやすく、控除枠を超える退職金の有力な選択肢。ただし併用を選べるかは会社の制度しだいです。
「正解」は人によって違う
控除の範囲内なら一時金の税優遇はとても強力ですが、控除を超える場合や、退職後の他の収入(公的年金・働いた収入)が多い場合は、年金形式・併用のほうが有利になるケースもあります。上の試算で自分の控除枠を確かめたうえで、会社の制度と合わせて検討しましょう。

iDeCoがある人は、受け取る「順番」に注意

iDeCoや企業型DCの一時金にも退職所得控除が使えますが、会社の退職金と近い時期に受け取ると、控除の枠が合算・調整されて小さくなるルールがあります。つまり、同じ金額でも受け取る順番と間隔で税金が変わるのです。

iDeCoが先 → 退職金が後
退職金を受け取る年の前年以前9年以内(いわゆる10年ルール)にiDeCoの一時金があると、控除が調整されます。2025年度の税制改正で「5年」から延長され、2026年1月1日以後に受け取る退職金から適用されています。間隔を10年以上空けられれば、それぞれの控除を使える計算です。
退職金が先 → iDeCoが後
こちらは対象期間が前年以前19年以内と長く、控除を別枠で使い直すのは現実的に難しい順番です。この場合は、iDeCo側を年金形式で受け取って公的年金等控除を使う、といった組み合わせが検討対象になります。
該当する人は、受給前に必ず制度確認を
このルールは金額への影響が大きいうえ、近年も改正が続いている分野です(本記事は2026年7月時点の制度に基づきます)。iDeCo・企業型DCと会社の退職金の両方がある人は、受け取り時期を決める前に、国税庁・運営管理機関の最新情報や税務署・税理士への確認をおすすめします。

受け取ったあとの「置き場所」

退職金は、多くの人にとって人生で一番大きなまとまったお金。受け取った直後にどう扱うかで、その後の安心感が大きく変わります。あわてて動かさないのが基本です。

1
まず「当面使うお金」と分ける
数年分の生活費や、近いうちに使う予定のお金(リフォーム・車・医療など)は、いつでも引き出せる預金に。ここを確保しておくと、残りのお金を落ち着いて考えられます。
2
一括で投資に回さない
まとまったお金を一度に投資すると、直後の下落の影響をまるごと受けてしまいます。運用に回す分も、数ヶ月〜数年に分けて少しずつ移す「時間分散」を意識すると、タイミングの偏りを和らげられます。退職者向けの金融商品の勧誘も増える時期なので、即決しないことも大切です。
3
運用する分は非課税制度から
長く使わない分を運用に回すなら、運用益が非課税になるNISAの枠から使うのが効率的です。老後の取り崩しまで含めた全体のお金の流れは、総合シミュレーター「おかね」で資産寿命として確かめられます。

よくある質問

退職金がない会社もある?
あります。退職金は法律上の義務ではなく、会社の制度しだいです。厚生労働省の就労条件総合調査(令和5年)では、退職給付制度がある企業は7割台で、おおむね4社に1社には制度がありません。中小企業では、会社が単独で用意する代わりに中小企業退職金共済(中退共)などの共済制度を使っているケースも多くあります。自分の会社に制度があるか、金額の計算方法はどうなっているかは、就業規則や退職金規程で確認できます。
転職を繰り返すと退職金はどうなる?
退職金は会社ごとの制度なので、転職すると勤続年数はリセットされます。多くの会社では支給に最低勤続年数(3年など)の条件があり、短い在籍を繰り返すと退職金がほとんど積み上がらないことも。退職所得控除も勤続年数で決まるため、1社で長く勤めた人より控除枠は小さくなりがちです。転職が多い働き方の人は、会社の退職金に頼りすぎず、持ち運びできるiDeCoやNISAで自分の退職金を作っていく発想が有効です。
退職金の相場はいくらくらい?
厚生労働省の就労条件総合調査(令和5年)では、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)で勤続20年以上かつ45歳以上の定年退職者の退職給付額は平均1,896万円でした。総合シミュレーター「おかね」の退職金欄の参考値(約1,900万円)もこの調査に基づいています。ただしこれは条件を満たす人の平均で、企業規模・学歴・勤続年数によって数百万円〜2,000万円超まで大きく差があります。自分の見込み額は退職金規程や会社への確認で把握するのが確実です。
確定申告は必要?
「退職所得の受給に関する申告書」を会社に提出していれば、退職所得控除を反映した税額が源泉徴収で精算されるため、退職金についての確定申告は原則不要です。多くの会社では退職手続きの中でこの書類を案内してくれます。提出しなかった場合は一律20.42%が源泉徴収されるので、確定申告をすれば納めすぎた分が戻ってくる可能性があります。年の途中で退職してその後働いていない場合は、給与側の年末調整がされないため、退職金とは別に申告で税金が戻ることもあります。
早期退職の割増金も同じ扱い?
早期退職優遇制度の割増分も、会社から退職に伴って支払われるものは基本的に退職所得として扱われ、退職所得控除と1/2課税の対象になります。ただし割増で金額が大きくなるぶん、控除枠を超える部分が出やすく、税金がかかるケースは増えます。また、早期退職は税金だけでなく、その後の収入・厚生年金の積み上がり・退職金の運用期間など人生全体への影響が大きい選択です。割増額の魅力だけでなく、総合シミュレーターなどで長期の家計への影響も確かめてから判断するのがおすすめです。

まとめ

  • 一時金は退職所得控除+1/2課税で税優遇が強力。まず自分の控除枠を知る。
  • 控除を超えるなら年金形式・併用も比較。iDeCoがある人は受け取る順番と間隔に注意。
  • 受け取ったら当面のお金と分け、一括投資はしない。あわてず時間をかけて置き場所を決める。
自分の控除枠と税金を概算する
受け取り方の方針が決まったら、総合シミュレーター(おかね)の退職金欄に反映して、人生全体のお金の流れで確かめましょう。
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